カカオ

フクロモモンガの「カカオ」は、スタンダードよりも黒色色素が淡くチョコレート色の毛を持っています。

目の色は深い赤で、光の加減では黒に見えることも少なくありません。

ですが、アルビノやクリミノ(ルビーレイ,ルビープラチナ)のレッドアイ同様、暗い場所では赤く、明るい場所に出れば暗くなるという変化があります。

尻尾やセンターのストライプや飛膜・手足部分、顔周りの模様に関してクラシックとのパターンに相違は見られませんが、色味が黒ではなく茶となるのですっきりとした印象を与えます。

 

カカオの来歴と検証状況

KT-NEXT社より、毛の黒色が普通よりも淡いオスのフクロモモンガを紹介され、予てよりそのベビーを生んだペアから時折茶色い子供が生まれていることもあり検証してみたいと思い譲り受けました。

丁度脱嚢から2か月経過した頃でしたが、ひとりっ子だったこともありかなりしっかりした体格で、物怖じしない子だなあという印象を受けました。

最初のカカオブラウンの背中、クリーム色のお腹の毛色から『カカオ(Cacao)』と名付けました。

また、譲渡時に少し色素が薄く、赤紫色だと感じた瞳の色ですが夜に部屋の電気を点けた際にカカオと目が合うとその色は暗いですがハッキリと赤い(通常の黒目ではない)ことが分かりました。

 

カカオも通常のフクロモモンガと同じく、成長するにつれ少し毛色のトーンが上がりました。

 

同年8月下旬、カカオの初めてのベビーが生まれました。

ふたりのメスと同居させ、同時期にそれぞれのメスから合わせて3匹のベビーが生まれましたが生まれたベビーの毛色は共に黒色が褪色していませんでした。

 

その後、もう一度同じ組み合わせからベビーが生まれましたが、同じく「カカオ」の特徴は持ち得ていませんでした。

 

2017年12月中旬、再びKT-NEXT社よりカカオと血縁関係のとても遠い別のペアより生まれたカカオと似通った表現のメスを譲ってもらい、ペアリングすることにしました。

 

カカオはどの女の子に対しても友好的で、威嚇されても反撃することなく、常に安心して同居させることができました。

 

そして2018年3月18日、待望のベビーが脱嚢しました。脱嚢前後より、現在主に流通しているどの品種の脱嚢時のカラーとも違う事が見てとれました。

開眼前でしたが、目の色は黒ではないことも分かりました。

毛の濃い部分も薄い部分も黒味が少なく、耳の色もカカオの特徴である淡いブラウンでした。

 

カカオは良き父親でもあり、両親と共にベビーは成長しました。

ベビーも、開眼時からおっとりとした性格で、両親の食事中に寝床から連れ出されても呼び鳴きもほとんどせず、親と同じ食事を食べだす頃には、夕方の給餌の際に一番にポーチから出てきて飼い主の手に乗ってくる様な子でした。

脱嚢3か月半脱嚢から3か月が足った頃には、見事なブラウンのコートの男の子に成長しました。

我が家で生まれた『カカオ』の第一世代である彼は、「たまも」という名前になりました。

 

TAMAMO’s Gallary

 

 

2018年6月下旬、同じ組み合わせから双子が脱嚢しました。

脱嚢時期の近さから、先のたまもが脱嚢した前後にやってきた発情でのベビーだと推測できます。

 

ベビーは、ふたりとも男の子でカカオと同じ毛色の特徴を有しています。

 

2018年8月時点で離乳前ですが、すでに親のエサをつまみ食いしに寝床から出てきており、カカオ・たまもと同じく物怖じしない性格をしています。

 

品種としての「カカオ」

フクロモモンガのスタンダードな毛色(所謂「クラシック」)と大きな差異を認める事ができるこの毛色に、便宜上の呼び名として最初の男の子のコールネームより『カカオ』を使用してきました。

カカオや同じ特徴を持つ交配相手の両親の毛色は茶色くありませんが、それぞれの兄弟姉妹に定期的に生まれている事・当方での交配による検証結果から、この毛色は遺伝すると判断し、品種そのものを『カカオ』と呼ぶ事にしました。

 

国内外に、類似する変異の個体(レッド,ストロベリー等と呼称されている)はいますが、それらとの関係性がはっきりしないことはもとより、それらの毛色の遺伝的分類・検証の発表が繁殖者によりなされていない事から、既存のカラーネームを使用することはできないと判断しました。

 

現在、ブリーダー・ショップ方の協力の元、遺伝的関係性の検証を進めています。

こちらのページも、結果に伴い修正・追記を行いたいと考えています。